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いびきをかく

「寝ている時に、家族からいびきがうるさいと言われる」「朝起きた時に、なんとなく体がだるい」と感じることはありませんか? いびきは、多くの方が経験する症状ですが、放置すると睡眠の質を低下させるだけでなく、健康に様々な悪影響を及ぼす可能性もあります。ここでは、いびきの原因や対策について詳しく解説します。

いびきのメカニズム

いびきは、睡眠中にのどの奥(上気道)が狭くなり、呼吸によって空気が通過する際に、周囲の組織が振動することで発生する音です。例えるなら、風が狭い場所を通るときに「ヒューヒュー」と音が鳴るのと同じような状態です。

いびきの種類

いびきには、大きく分けて2つの種類があります。

  1. 単純性いびき:
    • 特徴:睡眠中にいびきをかくものの、無呼吸(呼吸が一時的に止まる)を伴わない状態。
    • 原因:のどの構造的な問題、鼻の病気、肥満、飲酒、疲労などが原因で起こることがあります。
    • 補足:健康上のリスクは低いとされていますが、睡眠の質を低下させる可能性はあります。
  2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS):
    • 特徴:睡眠中に、いびきとともに呼吸が止まる(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)状態が繰り返される病気。
    • 原因:肥満、首が短い、あごが小さいなど、のどの構造的な問題や、鼻の病気、生活習慣などが原因で起こることがあります。
    • 補足:睡眠時無呼吸症候群は、重症化すると高血圧や心臓病、脳卒中などの合併症を引き起こすリスクが高まります。

いびきの原因

いびきの原因は様々ですが、主な原因として以下のものが挙げられます。

1.のどの構造的な問題

  • 扁桃肥大(へんとうひだい):口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)が大きいと、のどの空間が狭くなり、いびきをかきやすくなります。特に、お子さんによく見られます。
  • 軟口蓋(なんこうがい)や口蓋垂(こうがいすい)の肥大:軟口蓋や口蓋垂という、のどの奥にある組織が大きくなると、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
  • アデノイド肥大:鼻の奥にあるアデノイドが大きいと、鼻の空気の通り道が狭くなり、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。特に、お子さんによく見られます。
  • 舌が大きい(巨舌症):舌が大きいと、睡眠中にのどの奥を塞ぎやすくなり、いびきをかきやすくなります。
  • あごが小さい(小顎症):あごが小さいと、のどの空間が狭くなりやすく、いびきをかきやすくなります。
  • 首が短い:首が短いと、のどの空間が狭くなりやすく、いびきをかきやすくなります。

2.鼻の病気

  • 副鼻腔炎(ふくびくうえん):鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こると、鼻づまりが起こり、口呼吸になりやすいため、いびきをかきやすくなります。
  • アレルギー性鼻炎:アレルギー性鼻炎によって鼻づまりが起こると、口呼吸になりやすく、いびきをかきやすくなります。
  • 鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう):鼻の左右を分ける壁が曲がっていると、鼻の空気の通り道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
  • 鼻茸(はなたけ):鼻の中にできるポリープが、鼻の空気の通り道を塞ぎ、いびきをかきやすくします。

3.生活習慣

  • 肥満:肥満は、首周りやのどの脂肪を増やし、気道を狭めるため、いびきをかきやすくなります。
  • 飲酒:アルコールは、筋肉を弛緩させる作用があり、のど周りの筋肉が緩んで気道を狭め、いびきをかきやすくなります。
  • 疲労:疲労が蓄積すると、のどの筋肉の緊張が緩みやすくなり、いびきをかきやすくなります。
  • 睡眠不足:睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、いびきをかきやすくすることがあります。
  • 喫煙:喫煙は、気道を刺激し炎症を起こしやすくし、いびきをかきやすくすることがあります。

4.その他

  • 加齢:年齢を重ねると、のどの筋肉が衰えやすくなり、いびきをかきやすくなります。
  • 睡眠薬・安定剤:これらの薬は、筋肉を弛緩させる作用があるため、いびきをかきやすくすることがあります。
  • 妊娠:妊娠中はホルモンバランスの変化や、体重増加などによって、いびきをかきやすくなることがあります。
  • 体位:仰向けで寝ると、舌がのどの方に落ち込みやすく、いびきをかきやすくなります。

いびきの検査と診断

いびきの原因を特定するために、耳鼻咽喉科や睡眠専門外来では、以下のような検査を行います。

  • 問診:いびきの頻度、大きさ、時間帯、他の症状(日中の眠気、起床時の頭痛など)などを詳しくお聞きします。
  • 鼻・のどの診察:鼻やのどの状態を観察し、扁桃肥大や鼻づまりの有無などを確認します。
  • 内視鏡検査:鼻やのどの奥を内視鏡で観察し、構造的な異常がないかを確認します。
  • 顔のレントゲン検査:必要に応じて、顔のレントゲン検査を行い、骨格の状態を確認します。
  • 睡眠検査(ポリソムノグラフィー):睡眠中の脳波、呼吸、心電図、酸素飽和度などを測定し、睡眠の質や無呼吸の有無などを詳しく調べます。
    • 補足:睡眠検査は、自宅で行える簡易検査と、医療機関に宿泊して行う精密検査があります。
  • 簡易睡眠モニター:自宅で睡眠中の呼吸状態を測定し、睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べます。

いびきの治療法

いびきの治療法は、原因や重症度によって異なります。

1.生活習慣の改善

  • 減量:肥満の方は、体重を減らすことで、いびきが改善することがあります。
  • 禁酒:寝る前の飲酒を控えましょう。
  • 禁煙:喫煙は、気道を刺激するため、禁煙しましょう。
  • 睡眠不足の解消:十分な睡眠時間を確保しましょう。
  • 横向きで寝る:仰向けで寝るのを避け、横向きで寝るようにしましょう。

2.鼻の病気の治療

  • 副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎:炎症を抑える薬を使用したり、鼻洗浄を行います。
  • 鼻中隔弯曲症・鼻茸:手術が必要となる場合があります。

3.マウスピース

  • 睡眠時に装着することで、下あごを前方に移動させ、気道を広げる効果が期待できます。

4.CPAP(持続陽圧呼吸療法)

  • 睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられます。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げ、無呼吸を防ぎます。

5.手術

  • 扁桃肥大やアデノイド肥大が大きい場合、手術で摘出することがあります。
  • 軟口蓋形成術など、気道を広げる手術を行うことがあります。

日常生活での注意点

  • 規則正しい生活を心がける:睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。
  • 寝る前の飲酒を控える:寝る前の飲酒は、いびきを悪化させるため、控えましょう。
  • 禁煙する:喫煙は、気道を刺激するため、禁煙しましょう。
  • 肥満を解消する:肥満は、いびきの原因となるため、適度な運動やバランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 寝る姿勢を工夫する:横向きで寝るように心がけましょう。
  • 枕の高さや硬さを調整する:自分に合った枕を使うようにしましょう。
  • 加湿器などを使用する:部屋の湿度を適切に保ち、のどの乾燥を防ぎましょう。

まとめ

いびきは、放置すると睡眠の質を低下させ、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。「もしかして自分もいびきをかいているかも…」と気になったら、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科や睡眠専門外来を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)

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