くびが痛い
「首が痛くて回せない」「首筋が張って頭まで痛い」など、首の痛みは日常生活に支障をきたすだけでなく、原因によっては重篤な病気が隠れている可能性もあります。首は、ボーリングの球ほどの重さがある頭を支え、体と脳をつなぐ重要な神経や血管が通る場所です。ここでは、首の痛みの原因や対処法について詳しく解説します。
首の痛みのメカニズム
首の痛みは、首の筋肉、骨、神経、血管などの組織が何らかの原因で刺激されたり、損傷したりすることで起こります。首の痛みの感じ方も様々で、ズキズキとした痛み、締め付けられるような痛み、ピリピリとした痛み、鈍痛など、痛みの種類や場所によって、原因を推測することができます。
首の痛みの種類と特徴
首の痛みは、痛む場所や痛みの性質によって、原因を推測する手がかりになります。
- 首の表面の痛み:皮膚の炎症、外傷、おでき、ヘルペスなどが考えられます。
- 首の奥の痛み:のど、気管、食道などの炎症や腫瘍、頸椎の異常などが考えられます。
- 首の筋肉の痛み:筋肉の緊張、肩こり、姿勢の悪さなどが考えられます。
- 神経の痛み:神経の圧迫や炎症が考えられます。ピリピリとした痛み、痺れを伴うことがあります。
- 首の前側の痛み:のど、気管、食道などの炎症や腫瘍、甲状腺の病気などが考えられます。
- 首の後ろ側の痛み:筋肉の緊張、頸椎の異常、神経痛などが考えられます。
- 首の側面の痛み:リンパ節の腫れ、筋肉の緊張、神経痛などが考えられます。
首の痛みの主な原因
首の痛みの原因は様々ですが、主な原因として以下のものが挙げられます。
1.炎症性の病気
- 咽頭炎・喉頭炎:のどや声帯が炎症を起こすと、首の痛みや腫れを伴うことがあります。
- 扁桃炎:扁桃腺に炎症が起こると、首の痛みや腫れを伴うことがあります。
- 甲状腺炎:甲状腺に炎症が起こると、首の前側に痛みや腫れを伴うことがあります。
- リンパ節炎:風邪や感染症などによって、首のリンパ節が腫れ、痛みを生じることがあります。
2.筋肉や骨格系の問題
- 頸椎症(けいついしょう):加齢や姿勢の悪さなどによって、首の骨(頸椎)や椎間板が変形し、神経を圧迫することで、首や肩の痛み、腕の痺れなどが起こることがあります。
- 頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア):頸椎の椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで、首や肩の痛み、腕の痺れなどが起こることがあります。
- 頸部捻挫(けいぶねんざ):交通事故やスポーツなどで首を急激に動かした際に、首の筋肉や靭帯を痛めてしまうこと。むちうちとも呼ばれます。
- 筋・筋膜性疼痛症候群(きん・きんまくせいとうつうしょうこうぐん):筋肉や筋膜が緊張し、慢性的な痛みを引き起こす状態。
- 肩こり:肩や首の筋肉が緊張し、血行が悪くなることで起こる症状。
3.神経系の問題
- 頸椎神経根症(けいついしんけいこんしょう):頸椎の変形や椎間板ヘルニアによって、神経が圧迫されることで、首の痛み、腕の痺れ、感覚異常などが起こることがあります。
- 神経痛:神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで、首から肩、腕にかけて痛みや痺れが起こることがあります(例:胸郭出口症候群、肋間神経痛)。
4.その他
- 外傷:首をぶつけたり、転倒したりして、首の筋肉や骨、神経を損傷すると、痛みが生じます。
- 腫瘍:首や喉の奥にできた腫瘍が、周囲の組織を圧迫し、痛みを生じることがあります。
- 食道疾患:食道炎や食道がんなど、食道の病気が原因で、首の痛みが起こることがあります。
- 顎関節症:顎関節の異常によって、首の筋肉が緊張し、痛みを引き起こすことがあります。
- 姿勢の悪さ:長時間同じ姿勢でいたり、猫背などの姿勢が悪いと、首に負担がかかり、痛みが生じることがあります。
首の痛みの検査と診断
首の痛みの原因を特定するために、耳鼻咽喉科や整形外科では、以下のような検査を行います。
- 問診:いつから痛みがあるか、どのような痛みか、どこが痛むか、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 視診・触診:首の表面を観察し、腫れや発疹、傷がないか確認します。また、リンパ節の腫れ、筋肉の張り具合、しこりの有無などを指で触って調べます。
- 鼻咽腔内視鏡検査:鼻から内視鏡を挿入し、のどや気管、食道の入り口の状態を観察します。
- 超音波検査:首の腫れやしこりがある場合に、超音波検査で詳しく調べます。
- レントゲン検査:頸椎の状態や、骨の異常を調べます。
- CT検査:より詳細に首の骨や軟部組織の状態を確認します。
- MRI検査:神経や筋肉の状態を詳しく調べます。
- 血液検査:炎症の程度などを調べます。
- 神経学的検査:神経の反射や感覚、運動機能などを調べます。
首の痛みの治療法
首の痛みの治療法は、原因によって異なります。
1.炎症性の病気の場合
- 薬物療法:抗菌薬、抗炎症薬、ステロイド薬などを使用します。
- 安静:炎症を抑えるために、安静を保つことが大切です。
2.筋肉や骨格系の問題の場合
- 薬物療法:鎮痛剤、筋弛緩薬、湿布などを使用します。
- リハビリテーション:温熱療法、電気療法、マッサージ、ストレッチなどを行います。
- 装具療法:首を固定するサポーターを使用することがあります。
3.神経系の問題の場合
- 薬物療法:神経痛を抑える薬や、ステロイド薬を使用することがあります。
- 神経ブロック療法:痛みを和らげるために、神経に麻酔薬を注射することがあります。
- 手術:神経を圧迫している原因を取り除く手術を行うことがあります。
4.その他の場合
- 外傷:安静にしたり、湿布を貼ったりします。必要に応じて、固定具を使用します。
- 腫瘍:手術や放射線治療などを行います。
- 食道疾患:食道炎や食道がんの治療を行います。
- 顎関節症:マウスピースを使用したり、顎の運動療法を行います。
- ストレス:ストレスを解消する方法を見つけ、リラックスする時間を作りましょう。
まとめ
「首が痛い」という症状は、様々な原因で起こりうる症状です。放置すると症状が悪化したり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。痛みが続く場合や、痺れ、感覚異常などを伴う場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科または整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)