くびに腫れものがある
「首にしこりのようなものができた」「首が腫れている気がする」と不安を感じたことはありませんか? 首の腫れものは、良性のものから悪性のものまで様々な原因が考えられます。ここでは、首の腫れものの原因や、対処法について詳しく解説します。
首の腫れものとは?
首の腫れものとは、首の表面や内部にできる、しこりや腫れ、膨らみなどの異常な状態を指します。首は、頭部と体をつなぐ重要な部位であり、リンパ節、筋肉、神経、血管、甲状腺など、様々な組織が密集しています。そのため、首の腫れものの原因も多岐にわたります。
首の腫れものの種類
首の腫れものは、発生する場所や原因によって、様々な種類に分類できます。
- リンパ節の腫れ:
- 首には多くのリンパ節が存在し、細菌やウイルス感染、炎症、腫瘍などによって腫れることがあります。
- 腫瘍:
- 良性腫瘍:脂肪腫、血管腫、神経鞘腫など、比較的ゆっくりと大きくなる腫瘍。
- 悪性腫瘍:甲状腺がん、リンパ腫、転移性リンパ節など、急速に大きくなる傾向がある腫瘍。
- 嚢胞(のうほう):
- 生まれつきの袋状の構造物の中に液体が溜まった状態。
- 正中頸嚢胞、側頸嚢胞など。
- 甲状腺の腫れ:
- 甲状腺の病気によって、甲状腺が腫れることがあります。
- 甲状腺腫、甲状腺炎、甲状腺がんなど。
- 唾液腺の腫れ:
- 唾液腺(耳下腺、顎下腺など)に炎症や腫瘍ができると、首の腫れとして感じることがあります。
- 耳下腺炎、唾液腺腫瘍など。
- 筋肉や血管の腫れ:
- 筋肉や血管が炎症を起こしたり、腫れたりすることで、首の腫れとして感じることがあります。
- 動脈瘤、筋肉の炎症など。
- その他の原因:
- 皮膚の炎症や感染症(おでき、毛嚢炎、蜂窩織炎など)。
- 脂肪腫。
首の腫れものが出る原因
首の腫れものが出る原因は様々ですが、大きく分けると以下のようになります。
1.炎症性のもの
- 感染症:細菌やウイルス感染によって、リンパ節が腫れたり、首の組織が炎症を起こして腫れることがあります。
- 例:風邪、インフルエンザ、咽頭炎、扁桃炎、蜂窩織炎、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)など
- 炎症性疾患:自己免疫疾患や炎症性の病気によって、首に腫れが生じることがあります。
- 例:サルコイドーシス、結核、甲状腺炎など
2.腫瘍性のもの
- 良性腫瘍:比較的ゆっくりと大きくなり、周囲の組織に浸潤したり、転移したりしない腫瘍。
- 例:脂肪腫、血管腫、神経鞘腫、唾液腺腫瘍など
- 悪性腫瘍:比較的急速に大きくなり、周囲の組織に浸潤したり、転移したりする腫瘍。
- 例:甲状腺がん、リンパ腫、咽頭がん、喉頭がん、転移性リンパ節など。
3.その他
- 嚢胞(のうほう):生まれつきの袋状の構造物の中に液体が溜まってできるもの。
- 唾液腺の病気:唾液腺に炎症や腫瘍ができると、首の腫れを感じることがあります。
- 筋肉や血管の異常:筋肉や血管が炎症を起こしたり、腫れたりして首の腫れとして感じることがあります。
- 生理的なもの:首の血管や骨の突起が、痩せたことで触れやすくなり、腫れもののように感じることがあります。
首の腫れものの特徴
首の腫れものは、その特徴によって原因を推測する手がかりになります。
- 急に腫れてきた場合:感染症による炎症の可能性が高いです。
- 徐々に大きくなってきた場合:腫瘍の可能性が考えられます。
- 痛みや発熱を伴う場合:感染症による炎症の可能性が高いです。
- 一つだけの場合:リンパ節の腫れや、良性の腫瘍の可能性があります。
- 複数ある場合:リンパ節の腫れや、感染症による炎症の可能性が高いです。
- 柔らかい場合:嚢胞や脂肪腫など、良性の腫瘍の可能性があります。
- 硬い場合:悪性腫瘍や、炎症が慢性化している可能性があります。
- 痛みを伴う場合:炎症や感染症の可能性が高いです。
- 痛みを伴わない場合:腫瘍の可能性があります。
- 首の前側にある場合:甲状腺の病気や、正中頸嚢胞の可能性があります。
- 首の側面にある場合:リンパ節の腫れや、側頸嚢胞の可能性があります。
首の腫れものの検査と診断
首の腫れものの原因を特定するために、耳鼻咽喉科や内科では、以下のような検査を行います。
- 問診:いつから腫れているか、大きさの変化、痛みの有無、他に症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 視診・触診:腫れものの大きさ、硬さ、形、可動性(動きやすさ)などを調べます。
- 超音波検査:腫れものの内部構造や、周囲の組織との関係を調べます。
- 血液検査:炎症の程度や、感染症の有無などを調べます。
- レントゲン検査・CT検査・MRI検査:骨や軟部組織の状態を詳しく調べます。
- 細胞診・組織診:腫瘍が疑われる場合は、針を刺して細胞を採取したり、組織の一部を切り取って顕微鏡で調べます。
- 内視鏡検査:鼻や口から内視鏡を挿入し、のどの奥を観察します。
首の腫れものの治療法
首の腫れものの治療法は、原因によって異なります。
1.炎症性の腫れの場合
- 抗菌薬:細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を使用します。
- 抗炎症薬:炎症を抑えるために、ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬を使用します。
- 安静:十分な休息をとり、体を休めましょう。
- 温める:患部を温めることで、血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。
2.腫瘍性の腫れの場合
- 良性腫瘍:手術で摘出することが一般的です。
- 悪性腫瘍:手術、放射線治療、化学療法など、腫瘍の種類や進行度によって治療法が異なります。
3.その他
- 嚢胞:手術で摘出することがあります。
- 唾液腺の病気:炎症の場合は、薬物療法を行います。腫瘍の場合は、手術が必要になることもあります。
- 筋肉や血管の異常:原因に応じて適切な治療を行います。
まとめ
首の腫れものは、様々な原因で起こりうる症状です。放置すると重症化したり、重篤な病気が隠れている可能性もあります。腫れものが気になる場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科や内科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)