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せき・痰が出る

「咳が止まらない」「痰が絡んでつらい」と感じることはありませんか? 咳や痰は、私たちを様々な刺激から守るための体の防御反応ですが、長引いたり、他の症状を伴う場合は、何らかの病気が隠れている可能性もあります。ここでは、咳や痰の原因、対処法について詳しく解説します。

咳とは?

咳は、気道(空気の通り道)に入った異物や刺激を外に排出するための反射運動です。気道にある咳受容体というセンサーが刺激されると、脳に信号が送られ、横隔膜や呼吸筋が収縮して、勢いよく空気が吐き出されます。

痰とは?

痰は、気道の粘膜から分泌される液体(粘液)です。気道は常に粘液で覆われており、この粘液は細菌やウイルス、ホコリなどの異物を捕らえて外に排出する役割を果たしています。風邪や気管支炎などで気道に炎症が起こると、粘液の分泌量が増え、粘り気が強くなるため、塊となって排出されます。また、鼻水がのどに流れ込んで痰のように感じることもあります(後鼻漏)。

咳や痰が出る主な原因

咳や痰が出る原因は様々ですが、主な原因として以下のものが挙げられます。

1.感染症による咳・痰

  • 風邪(急性上気道炎):ウイルス感染によって、鼻やのど、気管支などの粘膜が炎症を起こし、咳や鼻水、痰、のどの痛み、発熱などの症状が現れます。
  • 急性喉頭炎:声帯がある喉頭が炎症を起こし、声のかすれや咳を伴います。
  • 急性気管支炎:気管支が炎症を起こし、咳や痰を伴います。
    • 補足:感染症による咳や痰は、通常1~2週間程度で症状が改善します。
  • 肺炎:肺が炎症を起こし、咳や痰、発熱、呼吸困難などの症状が現れます。
  • 百日咳:百日咳菌に感染して起こる感染症。特徴的な咳(コンコンと続く咳や、最後にヒューという音を伴う咳)が続きます。
  • 咽頭炎・喉頭炎:のどや声帯が炎症を起こし、咳や痰、のどの痛み、声のかすれなどの症状が現れます。

2.アレルギーによる咳・痰

  • アレルギー性鼻炎:アレルギー物質によって鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水や鼻づまり、くしゃみとともに、咳や痰が出ることもあります。
  • 喘息(ぜんそく):気道が慢性的に炎症を起こし、発作的に気道が狭くなる病気。咳や痰、呼吸困難、喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒューといった呼吸音)などの症状が現れます。
  • 咳喘息(せきぜんそく):喘息のように気道が狭くなる症状はないものの、咳が長く続く病気。夜間や明け方に咳が出やすい傾向があります。
  • 喉頭アレルギー:喉頭がアレルギー反応を起こし、咳やのどの違和感、声のかすれなどの症状が現れます。

3.その他の原因による咳・痰

  • 慢性気管支炎:長期間にわたって気管支の炎症が続く病気。咳や痰が慢性的に続きます。
  • 肺結核:結核菌が肺に感染して起こる病気。咳や痰、微熱、倦怠感、体重減少などの症状が現れます。
  • 肺がん:肺にできる悪性腫瘍。咳や痰、血痰、胸痛などの症状が現れます。
  • 胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう):胃酸が食道に逆流し、のどや気管を刺激して、咳や痰、胸焼けなどの症状が現れます。
  • 薬剤の副作用:血圧を下げる薬など、一部の薬の副作用で咳が出ることがあります。
  • 心不全:心臓の機能が低下し、肺に血液が溜まると、咳や痰、息切れなどの症状が現れます。
  • 後鼻漏:鼻水がのどに流れ込むことで、痰が絡んでいるように感じたり、咳が出たりすることがあります。
  • 刺激物:タバコの煙やホコリなどの刺激物が、気道を刺激して咳を引き起こすことがあります。

咳の種類と特徴

咳には、様々な種類があり、原因によって特徴が異なります。

  • 乾いた咳:痰を伴わない咳。風邪の初期や、アレルギー性鼻炎、咳喘息などでみられます。
  • 湿った咳:痰を伴う咳。気管支炎や肺炎など、感染症でみられます。
  • コンコンと続く咳:百日咳でみられる特徴的な咳です。
  • 夜間や明け方に悪化する咳:喘息や咳喘息、胃食道逆流症などでみられます。
  • 痰が絡む咳:気管支炎や肺炎、副鼻腔炎などでみられます。

咳や痰の検査と診断

咳や痰の原因を特定するために、内科や耳鼻咽喉科、呼吸器内科などで以下の検査を行います。

  • 問診:いつから症状が出始めたか、どのような咳か、痰の色や量、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
  • 聴診:呼吸音を聴診器で確認します。
  • 胸部レントゲン検査:肺や心臓の状態を確認します。
  • 血液検査:炎症の程度や、感染症の種類を調べるために血液検査を行います。
  • 喀痰検査:痰の中に細菌や結核菌などがいないか調べます。
  • 呼吸機能検査:肺活量や息を吐くスピードを測定し、肺の機能を確認します。
  • アレルギー検査:必要に応じて、アレルギー検査を行い、アレルギーが原因かどうかを調べます。
  • CT検査・MRI検査:必要に応じて、胸部や頸部のCT検査やMRI検査を行い、より詳しい情報を得ます。
  • 内視鏡検査:必要に応じて、気管支や喉頭を内視鏡で観察し、異常がないかを確認します。

咳や痰の治療法

咳や痰の治療法は、原因によって異なります。

1.感染症が原因の場合

  • 風邪:安静にして、水分補給を心がけ、必要に応じて解熱鎮痛剤や咳止めなどの対症療法を行います。
  • 急性喉頭炎・急性気管支炎:炎症を抑える薬や、必要に応じて抗菌薬を使用します。
  • 肺炎:抗菌薬や抗ウイルス薬を使用します。
  • 百日咳:抗菌薬を使用します。

2.アレルギーが原因の場合

  • アレルギー性鼻炎:抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使用します。
  • 喘息・咳喘息:気管支を広げる薬や、炎症を抑える薬を使用します。

3.その他の原因の場合

  • 慢性気管支炎:禁煙指導や、気管支拡張薬、吸入ステロイド薬などを使用します。
  • 肺結核:複数の抗結核薬を長期間服用します。
  • 肺がん:手術、放射線治療、化学療法などを行います。
  • 胃食道逆流症:胃酸の分泌を抑える薬を使用します。
  • 薬剤の副作用:薬の調整や変更を医師に相談します。
  • 心不全:心臓の負担を軽減する薬を使用します。
  • 後鼻漏:原因となる鼻炎や副鼻腔炎を治療します。

4.共通の治療法

  • 去痰薬:痰を出しやすくする薬を使用します。
  • 鎮咳薬:咳を鎮める薬を使用します。ただし、咳は体の防御反応でもあるため、安易に咳止めを使用しない方が良い場合もあります。医師の指示に従って使用しましょう。
  • 加湿:加湿器などで部屋の湿度を保ち、気道が乾燥するのを防ぎます。
  • 水分補給:こまめに水分を補給し、痰を出しやすくします。

日常生活での注意点

  • 禁煙:喫煙は、気道を刺激し、咳や痰を悪化させるため、禁煙しましょう。
  • 加湿:加湿器などで部屋の湿度を保ち、気道が乾燥するのを防ぎましょう。
  • 水分補給:こまめに水分を補給し、痰を出しやすくします。
  • 刺激物を避ける:タバコの煙やホコリ、香辛料などの刺激物を避けましょう。
  • うがい:うがいをすることで、のどを清潔に保ち、炎症を和らげることができます。

まとめ

咳や痰は、放置すると重症化したり、他の病気のサインである可能性もあります。咳や痰が長引く場合や、他の症状を伴う場合は、自己判断せずに早めに呼吸器内科や耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)

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