のどの痛み
のどの痛み
「のどがチクチクする」「飲み込むときにズキッと痛む」など、のどの痛みは誰にとってもつらいものです。のどは、呼吸や食事をする上で重要な器官であり、炎症が起こると日常生活に大きな支障をきたします。
のどの痛みのメカニズム
のどの痛みは、のどの粘膜や組織が炎症を起こすことで、神経が刺激され、痛みを感じるものです。炎症の原因は様々ですが、多くは感染症や刺激によるものです。
のどの痛みの主な原因
のどの痛みの原因は様々ですが、主な原因として以下のものがあげられます。
1.感染症によるのどの痛み
- 風邪(急性咽頭炎):ウイルス感染によってのどの粘膜が炎症を起こし、のどの痛み、咳、鼻水、発熱などの症状が現れます。
- 扁桃炎:扁桃腺(のどの奥の両側にあるリンパ組織)が細菌やウイルスに感染して炎症を起こし、のどの痛み、発熱、倦怠感などの症状が現れます。
- 補足:扁桃炎は、ものを飲み込むときの強い痛みや、耳の痛みを伴うこともあります。
- 扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう):扁桃炎が重症化し、扁桃腺の周りに膿が溜まった状態。のどの激しい痛み、高熱、口を開けづらくなるなどの症状が現れます。
- 喉頭炎(こうとうえん):声帯がある喉頭が炎症を起こし、のどの痛み、声のかすれ、咳などの症状が現れます。
- 急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん):喉頭の入口にある喉頭蓋が細菌感染などで急激に腫れ上がる病気。のどの激しい痛み、呼吸困難、声のかすれなどの症状が現れます。
- 補足:急性喉頭蓋炎は、重症化すると呼吸困難に陥る危険性があるため、速やかな治療が必要です。
- 溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう):溶連菌という細菌に感染することで、のどの痛み、発熱、発疹などの症状が現れます。
- 補足:子供に多い感染症ですが、大人も感染することがあります。
- ヘルパンギーナ:ウイルス感染によって、口の中やのどに小さな水疱ができる病気。のどの痛み、発熱、食欲不振などの症状が現れます。主に子供に多い病気です。
- 手足口病:ウイルス感染によって、手、足、口の中に発疹や水疱ができる病気。のどの痛み、発熱、食欲不振などの症状が現れます。主に子供に多い病気です。
- プール熱(咽頭結膜熱):アデノウイルス感染によって、のどの痛み、発熱、目の充血などの症状が現れます。プールで感染することが多いため、プール熱と呼ばれています。主に子供に多い病気です。
- 伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう):EBウイルスというウイルス感染によって、のどの痛み、発熱、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。思春期や若い成人に多く見られます。
2.その他の原因によるのどの痛み
- 刺激物:タバコの煙、アルコール、香辛料などの刺激物がのどの粘膜を刺激し、痛みを感じることがあります。
- 乾燥:空気が乾燥していると、のどの粘膜が乾燥しやすくなり、痛みを感じることがあります。
- 声の出しすぎ:大声で話したり、歌ったりして、のどを酷使すると、のどを痛めることがあります。
- アレルギー:花粉やハウスダストなどのアレルギー物質に反応して、のどに炎症が起こり、痛みを感じることがあります。
- 逆流性食道炎:胃酸が食道に逆流し、のどを刺激して痛みを感じることがあります。
- 腫瘍:まれに、のどに腫瘍ができ、痛みを感じることがあります。
のどの痛みの種類と特徴
のどの痛みは、原因によって特徴が異なります。
- 風邪:のどの痛み以外にも、咳や鼻水、発熱などの全身症状を伴うことが多いです。
- 扁桃炎:ものを飲み込むときの強い痛みや、耳の痛みを伴うことが多いです。
- 扁桃周囲膿瘍:激しいのどの痛み、高熱、口を開けづらいなどの症状が現れます。
- 喉頭炎:声のかすれを伴うことが多いです。
- 急性喉頭蓋炎:呼吸困難を伴うことがあるため、注意が必要です。
- 溶連菌感染症:発疹を伴うことがあります。
- ヘルパンギーナ:口の中やのどに小さな水疱ができます。
- 手足口病:手、足、口の中に発疹や水疱ができます。
- プール熱:目が充血することがあります。
のどの痛みの検査と診断
のどの痛みの原因を特定するために、耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います。
- 問診:いつから症状が出始めたか、どのような痛みか、他に症状があるかなどを詳しくお聞きします。
- 視診:のどの状態を直接観察し、炎症の程度や場所を確認します。
- 迅速検査:溶連菌感染症が疑われる場合は、迅速検査を行います。
- 血液検査:必要に応じて、炎症の程度や、感染症の種類を調べるために血液検査を行います。
- 内視鏡検査:のどの奥を内視鏡で観察し、詳細な状態を調べます。
のどの痛みの治療法
のどの痛みの治療法は、原因によって異なります。
1.感染症が原因の場合
- 風邪:安静にして、水分補給を心がけ、必要に応じて解熱鎮痛剤などの対症療法を行います。
- 扁桃炎・扁桃周囲膿瘍:抗菌薬を使用します。重症の場合は、入院して点滴治療を行うことがあります。扁桃周囲膿瘍は、膿を出すために切開することがあります。
- 喉頭炎:声を安静にし、炎症を抑える薬を使用します。
- 急性喉頭蓋炎:重症の場合は、入院して点滴治療や呼吸管理を行います。
- 溶連菌感染症:抗菌薬を使用します。
- ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱:ウイルス感染のため、特効薬はなく、安静にして、症状を和らげる対症療法を行います。
- 伝染性単核球症:ウイルス感染のため、特効薬はなく、安静にして、症状を和らげる対症療法を行います。
2.その他の原因の場合
- 刺激物を避ける:タバコの煙、アルコール、香辛料などの刺激物を避けましょう。
- 乾燥を防ぐ:加湿器などで部屋の湿度を保ち、のどの乾燥を防ぎましょう。
- 声の安静:声の出しすぎを避け、のどを安静にしましょう。
- アレルギー対策:アレルギーが原因の場合は、アレルギーの原因物質を避けるようにしましょう。
- 逆流性食道炎:胃酸の分泌を抑える薬を使用します。
- 腫瘍:手術や放射線治療などが必要になる場合があります。
まとめ
のどの痛みは、様々な原因で起こる症状です。放置すると症状が悪化したり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。のどの痛みが続く場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)