息がしにくい
「息が苦しい」「呼吸がしづらい」と感じたことはありませんか? 息苦しさは、日常生活に支障をきたすだけでなく、時には生命に関わる危険な状態である可能性もあります。ここでは、息がしにくいと感じる原因や、対処法について詳しく解説します。
息がしにくいと感じたら、まず確認すべきこと
息がしにくいと感じたとき、まず確認すべきことは、以下の2点です。
本当に息がしにくいのか?
- 深呼吸をしてみる:ゆっくりと深呼吸をしてみて、楽に息を吸ったり吐いたりできるか確認しましょう。
- 呼吸の回数や深さを確認する:呼吸が速い、浅い、または苦しそうな呼吸をしていないか確認しましょう。
息がしにくいのか? 息ができないのか?
- 「息がしにくい」場合:呼吸はできているものの、息苦しさや呼吸がしづらいと感じる状態。
- 「息ができない」場合:呼吸ができず、意識が朦朧としたり、倒れてしまうような危険な状態。
息がしにくい原因
息がしにくい原因は多岐にわたります。主な原因として以下のものが挙げられます。
1.呼吸器系の病気
- 気道が狭くなる病気:
- 急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん):喉頭の入口にある喉頭蓋が細菌感染などで急激に腫れ上がり、気道を狭めて呼吸困難を引き起こす病気。のどの痛み、声のかすれ、息苦しさなどを伴います。
- 咽頭炎・喉頭炎:のどや声帯がある喉頭が炎症を起こし、腫れることで、息苦しさや声のかすれを引き起こすことがあります。
- 気管支炎・肺炎:気管支や肺に炎症が起こり、気道が狭くなったり、呼吸機能が低下したりすると、息苦しさを感じることがあります。
- 喘息(ぜんそく):気道が慢性的に炎症を起こし、発作的に気道が狭くなる病気。呼吸困難、咳、喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒューといった呼吸音)などの症状が現れます。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD):喫煙などが原因で、肺の機能が低下する病気。息切れや咳、痰などの症状が現れます。
- 腫瘍:喉頭がんや下咽頭がんなどの腫瘍が気道を塞いでしまうと、息苦しさを感じることがあります。
- 肺の病気:
- 肺炎:細菌やウイルス感染によって肺が炎症を起こし、息苦しさや咳、発熱などの症状が現れます。
- 肺気腫:肺胞が破壊されることで、肺の機能が低下し、息切れや呼吸困難を引き起こします。
- 肺水腫:肺に液体が溜まることで、呼吸困難を引き起こします。
- 間質性肺炎:肺の間質という部分に炎症が起こり、肺が硬くなる病気で、息切れや咳などの症状が現れます。
2.心臓の病気
- 心不全:心臓の機能が低下し、全身に十分な血液を送ることができなくなると、息切れや呼吸困難などの症状が現れます。
- 狭心症・心筋梗塞:心臓の血管が狭くなったり、詰まったりすると、胸の痛みや圧迫感とともに、息苦しさを感じることがあります。
- 不整脈:心臓のリズムが乱れると、息切れや動悸を感じることがあります。
3.精神的な問題
- 過換気症候群:ストレスや不安によって、呼吸が速く、浅くなる病気。息苦しさ、動悸、めまい、手足のしびれなどの症状が現れます。
- パニック障害:突然、激しい不安や恐怖を感じ、呼吸困難や動悸などの症状が現れる病気。
- 不安神経症:慢性的な不安や緊張を感じ、息苦しさや胸の圧迫感などの症状が現れることがあります。
4.その他の原因
- 貧血:血液中の酸素を運ぶ赤血球が不足すると、息切れや倦怠感を感じることがあります。
- 肥満:体重が増加すると、呼吸器系に負担がかかり、息切れを感じることがあります。
- 甲状腺の病気:甲状腺機能亢進症などの甲状腺の病気によって、息切れや動悸を感じることがあります。
- 薬の副作用:一部の薬の副作用として、息苦しさを感じることがあります。
- アレルギー:アレルギー反応によって気道が狭くなると、息苦しさを感じることがあります。
- 横隔膜の異常:横隔膜の動きが制限されると、息苦しさを感じることがあります。
- 妊娠:妊娠によってお腹が大きくなると、横隔膜が圧迫され、息苦しさを感じることがあります。
息がしにくい時の検査と診断
息がしにくい原因を特定するために、耳鼻咽喉科や内科、循環器科など、専門の医療機関で以下の検査を行います。
- 問診:いつから症状が出始めたか、どのようなときに症状が出やすいか、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 聴診:呼吸音や心音を聴診器で確認します。
- 視診:のどや鼻の状態を観察します。
- 血液検査:貧血の有無、炎症の程度、感染症の有無などを調べます。
- 胸部レントゲン検査:肺や心臓の状態を確認します。
- 心電図検査:心臓の電気的な活動を調べます。
- 呼吸機能検査:肺活量や息を吐くスピードを測定し、肺の機能を確認します。
- 血液ガス分析:動脈血中の酸素や二酸化炭素の量を測定し、呼吸の状態を確認します。
- 内視鏡検査:必要に応じて、気管や喉頭を内視鏡で観察し、異常がないかを確認します。
- CT検査・MRI検査:必要に応じて、胸部や頸部のCT検査やMRI検査を行い、より詳しい情報を得ます。
- アレルギー検査:必要に応じて、アレルギー検査を行い、アレルギーが原因かどうかを調べます。
息がしにくい時の治療法
息がしにくい時の治療法は、原因によって異なります。
1.呼吸器系の病気が原因の場合
- 急性喉頭蓋炎:重症の場合は、入院して点滴治療や呼吸管理を行います。
- 咽頭炎・喉頭炎:炎症を抑える薬を使用します。
- 気管支炎・肺炎:抗菌薬や抗ウイルス薬を使用します。
- 喘息:気管支を広げる薬や、炎症を抑える薬を使用します。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD):禁煙指導や気管支拡張薬、吸入ステロイド薬などを使用します。
- 腫瘍:手術や放射線治療などが必要となる場合があります。
2.心臓の病気が原因の場合
- 心不全:心臓の負担を軽減する薬を使用します。
- 狭心症・心筋梗塞:手術や薬物療法を行い、心臓の血管を広げます。
- 不整脈:心臓のリズムを整える薬や治療を行います。
3.精神的な問題が原因の場合
- 過換気症候群:ゆっくりと深呼吸をする練習や、必要に応じて抗不安薬を使用します。
- パニック障害・不安神経症:専門医によるカウンセリングや薬物療法を行います。
4.その他の原因の場合
- 貧血:鉄剤やビタミン剤を服用します。
- 肥満:食事療法や運動療法を行い、体重を減らします。
- 甲状腺の病気:甲状腺ホルモンを調整する薬を使用します。
まとめ
息がしにくいという症状は、放置すると重篤な状態に陥る可能性があるため、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。特に、食事を摂れないほどの強い痛みをのどに感じる場合は、急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍の可能性が、誰が聞いても分かる強い声がれを伴う場合は、喉頭がんや下咽頭がんの可能性がありますので、急いで耳鼻咽喉科を受診してください。また、呼吸困難や意識障害、胸の痛みなどを伴う場合は、すぐに救急車を呼び救急医療機関で診てもらうなど、速やかな対応が必要です。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)