耳がかゆい
「なんだか耳の中がかゆい」「ついつい耳を触ってしまう」そんな経験はありませんか? 耳のかゆみは、多くの方が経験する不快な症状ですが、放置すると悪化して痛みや耳だれの原因になることもあります。ここでは、耳のかゆみの原因や対処法について詳しく解説します。
耳の構造と耳のかゆみ
耳は、外側から「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分に分けられます。
- 外耳:耳の穴の入り口から鼓膜までの部分。外耳道(がいじどう)とも呼ばれます。
- 中耳:鼓膜の奥にある空間。
- 内耳:音を感知する器官。
耳のかゆみは、主に外耳道に起こります。外耳道の皮膚は非常に薄く、刺激に弱いため、ちょっとしたことで炎症を起こし、かゆみを生じやすい場所です。
耳のかゆみの原因
耳のかゆみの主な原因は、以下の通りです。
1.外耳炎(がいじえん)
特徴:外耳道の皮膚に炎症が起こる病気。
- 補足:耳のかゆみのほとんどは、外耳炎によるものです。
原因:
- 耳掃除のしすぎ:綿棒や耳かきで耳を掃除しすぎると、外耳道の皮膚を傷つけてしまい、炎症を起こしやすくなります。
- 耳かきによる刺激:硬い耳かきや爪で耳をかきすぎると、皮膚を傷つけ、炎症を起こすことがあります。
- 異物の侵入:イヤホンや補聴器などの異物が、外耳道を刺激して炎症を起こすことがあります。
- 感染:細菌やカビ(真菌)が外耳道に感染して炎症を起こすことがあります。
- アレルギー:化粧品やヘアケア製品などによる接触性皮膚炎で、外耳道にかゆみや炎症が起こることがあります。
- 湿疹:アトピー性皮膚炎や脂漏性湿疹などの皮膚疾患が、外耳道にも広がり、かゆみを引き起こすことがあります。
2.乾燥
特徴: 外耳道の皮膚が乾燥し、かゆみが生じる状態。
原因:
- 乾燥した気候。
- エアコンの使用による乾燥。
- 加齢による皮膚の乾燥。
3.その他
- 異物:耳の中に小さな虫やゴミなどの異物が入り込み、かゆみを感じることがあります。
- 皮膚疾患:乾癬などの皮膚疾患が外耳道に影響し、かゆみを引き起こすことがあります。
- ストレス:ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、かゆみを感じやすくなることがあります。
- アレルギー:食物アレルギーや金属アレルギーなどで、耳のかゆみが起こることがあります。
- 水:水泳や入浴後などに耳の中に水が残ると、かゆみを感じることがあります。
- 糖尿病:糖尿病の方は、皮膚が乾燥しやすいため、耳のかゆみを感じやすくなることがあります。
耳のかゆみの検査と診断
耳のかゆみの原因を特定するために、耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います。
- 問診:いつからかゆみがあるか、どのような時かゆみを感じるか、他に症状があるかなどを詳しくお聞きします。
- 耳鏡検査:耳の穴の中を観察し、外耳道の状態を確認します。
- 細菌検査:耳漏を採取し、細菌やカビの有無を調べることがあります。
- アレルギー検査:アレルギーが疑われる場合は、アレルギー検査を行います。
耳のかゆみの治療法
耳のかゆみの治療法は、原因によって異なります。
1.外耳炎の場合
- 点耳薬:炎症を抑えるステロイド薬や、細菌やカビを殺菌する抗菌薬・抗真菌薬を含む点耳薬を使用します。
- 軟膏:炎症を抑えるステロイド軟膏や、抗菌薬・抗真菌薬を含む軟膏を塗布します。
- 耳の掃除:耳鼻咽喉科で、外耳道の分泌物や耳垢を取り除いてもらいます。
補足:ご自身での耳掃除は控えましょう。
2.乾燥が原因の場合
- 保湿剤:外耳道にワセリンなどの保湿剤を塗って乾燥を防ぎます。
3.その他の原因の場合
- 異物:耳鼻咽喉科で異物を除去してもらいます。
- 皮膚疾患:皮膚科で適切な治療を受けましょう。
- ストレス:ストレスを解消するように心がけましょう。
- アレルギー:アレルギーの原因物質を避けるようにしましょう。
- 糖尿病:糖尿病の治療を行います。
日常生活での注意点
- 耳を触りすぎない:かゆくても、できるだけ耳を触らないようにしましょう。
- 耳掃除は控えめにする:耳掃除は、月に1〜2回程度を目安とし、綿棒や耳かきの使いすぎに注意しましょう。耳垢が気になる場合は、耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
- 耳に水が入らないようにする:水泳や入浴の際は、耳栓をするなどして、耳に水が入らないように注意しましょう。
- イヤホンや補聴器は清潔に保つ:イヤホンや補聴器は、こまめに消毒し、清潔に保ちましょう。
- 乾燥を防ぐ:乾燥した環境では、加湿器などを使って、部屋の湿度を適切に保ちましょう。
まとめ
耳のかゆみは、多くの方が経験する症状ですが、放置すると悪化して痛みや耳だれの原因になることもあります。耳のかゆみが続く場合や、痛み、耳だれなどの症状を伴う場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)