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耳だれが出る・耳が臭う

「耳だれ」とは、耳の穴から液体が出てくる状態を指します。医学的には「耳漏(じろう)」とも呼ばれます。耳だれが出ている場合、外耳道(耳の穴の入り口から鼓膜までの部分)や中耳(鼓膜の奥にある空間)に何らかの異常が起きている可能性があります。

耳だれには、その原因によってさまざまな種類があり、それぞれ見た目や性質が異なります。大きく分けると、以下のようになります。

1.漿液性(しょうえきせい)の耳だれ

特徴:さらさらとした透明または薄い黄色の液体。
原因:
  • 外耳道の湿疹:皮膚が炎症を起こし、滲出液が出てくる。
  • 耳かきのしすぎ:外耳道の皮膚を傷つけ、炎症が起こる。
  • アレルギー性皮膚炎:外耳道の皮膚がアレルギー反応を起こし、炎症を起こす。

2.膿性(のうせい)の耳だれ

特徴:黄色や緑色で、粘り気があり、膿のような状態の液体。
原因:細菌感染による外耳炎や中耳炎。
  • 補足:膿は、細菌と戦った白血球の死骸などが含まれています。

3.粘液性(ねんえきせい)の耳だれ

特徴:透明で粘り気のある液体。
原因:中耳の粘膜から分泌される液体。
  • 補足:主に中耳炎(特に滲出性中耳炎)でみられます。

4.粘膿性(ねんのうせい)の耳だれ

特徴:粘り気があり、膿のような黄色や緑色が混じった液体。
原因:細菌感染を伴う中耳炎。
  • 補足:粘液性の耳だれに細菌感染が加わると、粘膿性になります。

5.水様性(すいようせい)の耳だれ

特徴:水のように透明でさらさらとした液体。
原因:
  • 頭部外傷などによる髄液漏(ずいえきろう):脳や脊髄を包む髄液が、外耳道に漏れ出ている状態。
  • まれに、非常に進行した中耳炎の場合にも見られることがあります。

6.血性(けっせい)の耳だれ

特徴:血が混じった赤い液体。
原因:
  • 外耳道や中耳の傷:外傷や耳かきによる傷が原因。
  • 腫瘍:外耳道や中耳にできた腫瘍からの出血。
  • その他:稀に、重症な中耳炎や炎症でも見られることがあります。

耳だれと似た症状:耳あかについて

外耳道には、耳あかが自然に排出される仕組みがあります。耳あかが柔らかく湿っている場合、「耳だれ」と間違われることがありますが、これは体質によるもので、病気ではありません。しかし、耳あかが異常に多い場合や、臭いを伴う場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

耳だれを引き起こす主な病気

  • 外耳炎: 外耳道に細菌や真菌が感染し、炎症を起こした状態。
  • 中耳炎: 中耳に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こした状態。
    • 急性中耳炎: 急激に発症する中耳炎。発熱や耳の痛みを伴うことが多い。
    • 慢性中耳炎: 急性中耳炎が治らず、炎症が慢性化した状態。
    • 滲出性中耳炎: 中耳に液体が溜まるが、痛みや発熱を伴わない中耳炎。
    • 好酸球性中耳炎: 粘り気の強い耳だれが出やすい、難治性の中耳炎。
  • 外耳道湿疹: 外耳道の皮膚が炎症を起こした状態。
  • 外耳道腫瘍: 外耳道にできる腫瘍。良性のものと悪性のものがある。
  • 中耳腫瘍: 中耳にできる腫瘍。良性のものと悪性のものがある。

耳だれの処置と治療法

耳だれの治療は、原因となっている病気によって異なります。

1.外耳炎の場合

  • 点耳薬:炎症を抑えるステロイド薬や、細菌やカビを殺菌する抗菌薬・抗真菌薬を含む点耳薬を使用します。
  • 軟膏:炎症を抑えるステロイド軟膏や、抗菌薬・抗真菌薬を含む軟膏を塗布します。
  • 耳の洗浄:耳鼻咽喉科で、外耳道の分泌物や耳垢を取り除いてもらいます。

2.中耳炎の場合

  • 抗菌薬: 細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を内服または点滴します。
  • 鼓膜切開: 必要に応じて、鼓膜を切開して膿を出すことがあります。
  • 鼓膜チューブ挿入: 慢性中耳炎や滲出性中耳炎で、繰り返し中耳に液体が溜まる場合は、鼓膜にチューブを挿入し、液体を排出します。

3.その他

  • 外耳道湿疹: ステロイド外用薬を使用します。
  • 外耳道腫瘍・中耳腫瘍: 手術や放射線治療など、専門的な治療が必要です。

日常生活での注意点

  • 耳を触りすぎない:耳を触ったり、掻いたりすると、炎症が悪化することがあります。
  • 耳掃除は控えめにする:耳掃除は、月に1〜2回程度を目安とし、綿棒や耳かきの使いすぎに注意しましょう。耳垢が気になる場合は、耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう。
  • 耳に水が入らないようにする:水泳や入浴の際は、耳栓をするなどして、耳に水が入らないように注意しましょう。
  • イヤホンや補聴器は清潔に保つ:イヤホンや補聴器は、こまめに消毒し、清潔に保ちましょう。

まとめ

耳だれの治療は、原因となっている病気によって異なります。放置すると症状が悪化したり、合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、耳だれが出た場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)

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