1．概要

良性腫瘍とは、口腔内や咽頭に発生するがん性ではない腫瘍を指します。これらは周囲組織への浸潤や転移を伴わないものの、腫瘍が大きくなると飲み込みや発声に影響を及ぼすことがあります。口腔内では、代表的な良性腫瘍として線維腫、血管腫、脂肪腫、乳頭腫、神経腫、腺腫などが挙げられ、咽頭でも同様の腫瘍が発生することがあります。定期検診により早期発見し、適切な治療を行うことが重要です。

2．症状

• しこりや腫れ：口内または咽頭に違和感を伴うしこりや腫瘍が現れる
• 痛み：腫瘍部位に鈍痛や違和感が生じる場合がある
• 嚥下障害：腫瘍が大きくなると飲み込みが困難になる
• 発声障害：咽頭の腫瘍が声帯に影響を及ぼすと、声のかすれや発声困難を引き起こす
• その他：腫瘍が周囲組織を圧迫する場合、噛む動作や舌の動きに影響を与えることもある

3．原因

良性腫瘍の正確な原因は明確ではないものの、以下の要因が関与することがあります。

• 慢性的な刺激：歯や義歯などによる口腔内の摩擦・刺激
• 炎症反応：口内炎などの慢性炎症が背景となる場合
• 遺伝的要因：家族歴や個人の体質による影響
• ウイルス感染：一部の腫瘍ではヒトパピローマウイルス（HPV）などの感染が関与しているとされる

4．診断

• 問診・視診・触診：口腔内や咽頭を直接観察し、しこりの大きさ、形状、硬さ、位置などを評価
• 内視鏡検査：内視鏡を用いて腫瘍の詳細な状態や、周囲の組織との関係を確認
• 画像検査：超音波、CT、MRIなどを用いて、腫瘍の内部構造や広がり、周囲組織との関係を把握
• 生検：腫瘍部位から組織を採取し、病理検査により良性であることを確定する

5．治療

• 経過観察：症状が軽微で腫瘍が小さい場合は、定期検診によって変化を追う
• 外科的切除：症状が出ていたり、機能障害を引き起こす場合には、腫瘍を手術により摘出する
• 術後管理・リハビリテーション：再発予防と口腔機能の回復を目的として、定期的な経過観察や必要に応じたリハビリを実施
• 補助的治療：場合によっては、内科的治療や放射線治療が選択されることもある

口腔内や咽頭にしこりや違和感がある場合は、早期に耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。