頭が重い
「頭がズーンと重い」「頭が締め付けられるように痛い」と感じることはありませんか? このような症状は「頭重感(ずじゅうかん)」と呼ばれ、多くの方が経験する不快なものです。頭痛の一種と考えることもできます。頭重感は、日常生活に支障をきたすだけでなく、時には重篤な病気のサインである可能性もあります。このページでは、頭重感の原因や対処法について詳しく解説します。
頭重感とは?
頭重感とは、頭が重く感じる、頭が締め付けられるように痛む、頭がぼーっとするなどの不快な感覚を指します。頭痛の一種と考えることもできますが、必ずしも激しい痛みではなく、鈍痛や圧迫感として感じられることが多いです。
頭重感の原因
頭重感の原因は様々ですが、大きく分けて以下の2つに分類できます。
1.基礎疾患(きそしっかん)がある場合
- 脳の病気:
- 脳梗塞(のうこうそく):脳の血管が詰まり、脳細胞が壊死する病気。頭痛、めまい、吐き気、手足の麻痺などの症状が現れることがあります。
- 脳出血(のうしゅっけつ):脳の血管が破れ、脳内に出血する病気。激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害などの症状が現れることがあります。
- 脳腫瘍(のうしゅよう):脳にできる腫瘍。頭痛、吐き気、嘔吐、視力障害などの症状が現れることがあります。
- くも膜下出血(くもまっかしゅっけつ):脳の表面を覆う膜の下に出血する病気。突然の激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害などの症状が現れます。
- 鼻の病気:
- 副鼻腔炎(ふくびくうえん):鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起こる病気。頭痛、顔面痛、鼻づまり、鼻水などの症状が現れます。
- 目の病気:
- 緑内障(りょくないしょう):眼圧が上昇し、視神経が障害される病気。頭痛、目の痛み、視力低下などの症状が現れることがあります。
- その他:
- 髄膜炎(ずいまくえん):脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気。頭痛、発熱、吐き気、首の硬直などの症状が現れます。
- 側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん):頭部の血管に炎症が起こる病気。頭痛、発熱、視力障害などの症状が現れます。
2.基礎疾患がない場合
- 筋肉の緊張:
- 肩や首のこり:長時間同じ姿勢での作業や、ストレスによって肩や首の筋肉が緊張すると、頭痛や頭重感を引き起こすことがあります。
- 神経系の問題:
- 片頭痛(へんずつう):ズキズキとした痛みが特徴の頭痛。吐き気や光過敏を伴うこともあります。
- 精神的な問題:
- うつ病: 憂鬱な気分が続く病気。頭痛や頭重感、不眠、食欲不振などの症状が現れることがあります。
- 不安障害: 強い不安や緊張が続く病気。頭痛や頭重感、動悸、発汗などの症状が現れることがあります。
- ストレス:ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、頭痛や頭重感、肩こりなどの症状が現れることがあります。
- 生活習慣の問題:
- 睡眠不足:睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、頭痛や頭重感を引き起こすことがあります。
- 長時間のパソコン作業:長時間同じ姿勢でパソコン作業をすると、肩や首の筋肉が緊張し、頭痛や頭重感を引き起こすことがあります。
- 不規則な生活習慣:食生活の乱れや、運動不足も、頭痛や頭重感の原因となることがあります。
- その他:
- 気圧の変化:気圧の変化によって、頭痛や頭重感が起こることがあります。
- カフェインの摂取:カフェインを摂りすぎると、頭痛や頭重感を引き起こすことがあります。
- 脱水症状:脱水状態になると、頭痛や頭重感が起こることがあります。
頭重感の種類と特徴
頭重感は、症状が現れる場所や、他の症状との組み合わせによって、原因を推測する手がかりになります。
- 頭の前方が重い場合:副鼻腔炎や目の病気の可能性が考えられます。
- 頭の後ろが重い場合:首や肩のこり、高血圧などが考えられます。
- 頭全体が重い場合:風邪やインフルエンザ、睡眠不足、精神的なストレスなどが考えられます。
- 吐き気を伴う場合:脳の病気や片頭痛の可能性があります。
- 鼻水や鼻づまりを伴う場合:副鼻腔炎の可能性が高いです。
- 目の痛みや視力低下を伴う場合:緑内障などの目の病気の可能性があります。
- 肩や首のこりを伴う場合:筋肉の緊張が原因である可能性が高いです。
頭重感の検査と診断
頭重感の原因を特定するために、受診する診療科によって、以下のような検査が行われます。
- 問診: いつから症状が出始めたか、どのような症状か、他に症状があるか、持病や服用中の薬の有無などを詳しくお聞きします。
- 耳鼻咽喉科の場合:
- 鼻鏡検査:鼻の穴の中を観察し、鼻の粘膜の状態や鼻水の性状などを確認します。
- 副鼻腔レントゲン検査・CT検査: 副鼻腔の状態を確認します。
- 鼻腔内視鏡検査:鼻の奥の状態を観察します。
- 眼科の場合:
- 視力検査:視力や視野を測定します。
- 眼圧検査:眼圧を測定します。
- 眼底検査:眼底の状態を観察します。
- 内科・脳神経外科の場合:
- 神経学的検査:神経の反射や感覚、運動機能などを調べます。
- 血液検査:貧血の有無や、炎症の程度などを調べます。
- 頭部CT検査・MRI検査: 脳の状態を画像で確認します。
頭重感の治療法
頭重感の治療法は、原因によって異なります。
1.基礎疾患がある場合
- 脳梗塞・脳出血・脳腫瘍: 脳神経外科で専門的な治療を行います。
- 副鼻腔炎:抗菌薬やステロイド薬を使用したり、鼻洗浄などを行います。
- 緑内障:眼圧を下げる点眼薬を使用したり、手術を行うことがあります。
2.基礎疾患がない場合
- 肩や首のこり:マッサージやストレッチ、温めるなどを行います。
- 片頭痛:痛みを和らげる薬や、予防薬を使用します。
- うつ病・不安障害:精神科や心療内科でカウンセリングや薬物療法を行います。
- 睡眠不足:睡眠時間を確保し、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。
- ストレス:ストレスを解消する方法を見つけ、リラックスする時間を設けましょう。
- 生活習慣の改善:バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動をしましょう。
- 市販薬:市販の鎮痛薬を使用することで、一時的に症状が緩和されることがあります。
まとめ
「頭が重い」という症状は、様々な原因で起こりうる症状です。放置すると日常生活に支障をきたしたり、重篤な病気が隠れている可能性もあります。症状が続く場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(眼の周囲や頬など頭の前方に症状が強く、粘った鼻がでる場合は副鼻腔炎の可能性が高いので、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。それ以外の症状の場合はまず脳神経内科・脳神経外科を受診ください。)