鼻づまり
「鼻がつまって苦しい」「鼻が詰まって息がしづらい」と感じることはありませんか?鼻づまりは、多くの方が経験する不快な症状です。単に鼻が詰まるだけでなく、さまざまな不調を引き起こすこともあります。
鼻づまりが引き起こす不調
鼻づまりが続くと、次のような症状が現れることがあります。
- 嗅覚の低下:鼻が詰まることで、においが感じにくくなります。
- 口呼吸:鼻で呼吸がしづらいため、口で呼吸をするようになります。口呼吸は、のどを乾燥させて痛めやすく、風邪を引きやすくする原因となります。
- いびき:口呼吸によっていびきをかきやすくなります。
- 集中力の低下:鼻づまりによる息苦しさや不快感は、集中力を低下させる原因となります。
- 疲労感:鼻づまりによって睡眠の質が低下すると、日中の疲労感につながります。
- 小児への影響:小児の場合、鼻づまりが続くと、睡眠障害や集中力低下から、学業や成長に影響が出る可能性もあります。
鼻づまりの原因
鼻づまりの原因は多岐にわたりますが、主な原因として以下のものがあげられます。
1.鼻の粘膜の炎症による鼻づまり
- 風邪による鼻炎:風邪のウイルス感染によって鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れることで鼻づまりが起こります。
- アレルギー性鼻炎:花粉やハウスダストなどのアレルギー物質に反応して、鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻づまりが起こります。
- 急性副鼻腔炎:細菌やウイルス感染によって、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)が炎症を起こし、鼻づまりや鼻水、顔面痛などの症状が現れます。
- 慢性副鼻腔炎:急性副鼻腔炎が慢性化したもので、鼻づまりや粘り気のある鼻水が続くことがあります。
- 鼻茸(はなたけ):鼻の粘膜が腫れてできるポリープで、大きくなると鼻の穴を塞ぎ、鼻づまりの原因となります。
- 粘り気のある鼻水:鼻水が粘り気を帯びて、鼻の通りを悪くし、鼻づまりを引き起こします。
2.鼻の構造的な異常による鼻づまり
- アデノイド肥大:小児の場合、鼻の奥(上咽頭)にあるアデノイドが肥大し、鼻の穴を塞いでしまうことがあります。
- 鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう):鼻の左右を分ける壁(鼻中隔)が曲がっていると、片側の鼻づまりが強くなることがあります。
- 鼻腔腫瘍:稀に、鼻の中に腫瘍ができることがあり、腫瘍が大きくなると鼻づまりの原因となります。
3.その他
- 点鼻薬の使いすぎ:血管収縮作用のある点鼻薬を使いすぎると、一時的に鼻づまりは解消されますが、効果がなくなると、反動で鼻の粘膜が腫れ、かえって鼻づまりが悪化することがあります(点鼻薬性鼻炎または薬剤性鼻炎)。
- 鼻の乾燥:鼻の粘膜が乾燥すると、鼻の通りが悪くなり、鼻づまりを感じることがあります。
- 加齢:加齢によって鼻の粘膜の機能が低下し、鼻の通りが悪いと感じることがあります。
鼻づまりの検査と診断
鼻づまりの原因を特定するために、耳鼻咽喉科では以下の検査を行います。
- 問診:いつから症状が出始めたか、どのような時に症状がでやすいか、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 鼻鏡検査:鼻の穴の中を観察し、鼻の粘膜の状態や鼻茸の有無などを確認します。
- 鼻腔通気度検査:鼻の通気具合を測定する検査です。
- 音響鼻腔計測検査:鼻の穴の容積を測定する検査です。
- 鼻咽腔内視鏡検査:鼻の奥(鼻咽腔)を内視鏡で観察し、アデノイドの肥大や腫瘍の有無などを確認します。
- CT検査:必要に応じて、鼻や副鼻腔のCT検査を行い、詳細な状態を把握します。
- アレルギー検査:アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、血液検査や皮膚検査などを行います。
鼻づまりの治療法
鼻づまりの治療は、原因によって異なります。
1.薬物療法
- 点鼻薬:血管収縮作用のある点鼻薬やステロイド点鼻薬を使用し、鼻の粘膜の腫れを抑えます。ただし、点鼻薬の使いすぎには注意が必要です。
- 内服薬:抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を使用し、アレルギー性鼻炎の症状を抑えます。副鼻腔炎の場合は、抗菌薬や粘液溶解薬を使用します。
2.鼻の処置
- 鼻洗浄:生理食塩水などで鼻を洗浄し、鼻の奥の粘り気のある鼻水や膿などを洗い流します。
- ネブライザー療法:薬液を霧状にして鼻やのどに吸入させ、炎症を抑えます。
3.手術療法
- 鼻茸切除術:鼻茸が大きい場合は、手術で切除します。
- 鼻中隔矯正術:鼻中隔弯曲症が原因の場合は、手術で鼻中隔を矯正します。
- 副鼻腔手術:慢性副鼻腔炎の場合は、手術で副鼻腔の炎症を取り除くことがあります。
- アデノイド切除術:小児のアデノイド肥大の場合は、手術でアデノイドを切除します。
まとめ
鼻づまりは、多くの方が経験する症状ですが、放置すると日常生活に支障をきたすことがあります。鼻づまりが続く場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)