鼻血が出る
「あれ、また鼻血が出た…」誰もが一度は経験する鼻血。ティッシュで押さえるとすぐに止まることが多いですが、頻繁に出たり、なかなか止まらない場合は心配になりますよね。鼻の粘膜は毛細血管が非常に多いため、ちょっとした刺激で出血しやすい場所です。
鼻血が出る原因
鼻血の原因は様々ですが、大きく分けると以下のようになります。
1.局所的な原因
- 鼻の粘膜の損傷:
- 鼻を触りすぎたり、鼻をほじる:爪や指で鼻の粘膜を傷つけてしまうと、出血しやすくなります。
- 鼻をぶつけた:鼻を物にぶつけたり、転倒して鼻を打ったりすると、鼻の粘膜や血管が損傷して出血します。
- 鼻をかみすぎたり、強くかむ:鼻を強くかむと、鼻の粘膜を刺激し、出血することがあります。
- 乾燥:鼻の粘膜が乾燥すると、血管がもろくなり、出血しやすくなります。冬場や空気が乾燥している環境で起こりやすいです。
- 炎症:鼻の粘膜が炎症を起こしていると、血管が拡張し、出血しやすくなります(例:風邪やアレルギー性鼻炎など)。
- 鼻の腫瘍:稀に、鼻の中に腫瘍ができることがあり、腫瘍からの出血が鼻血の原因となることがあります。
- 良性腫瘍:血管腫(けっかんしゅ)という血管が集まってできた良性の腫瘍は、若い人に多く見られ、特に「若年性血管腫」と呼ばれることがあります。
- 悪性腫瘍:上顎がんなどの悪性腫瘍も、鼻血の原因となることがあります。
- 異物:小さな子供が、おもちゃやビーズなどの異物を鼻の中に入れてしまい、粘膜を傷つけ、出血することがあります。
2.全身的な原因
- 高血圧:血圧が高いと、血管に負担がかかり、鼻血が出やすくなります。
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)の服用:心臓病や脳梗塞などでこれらの薬を服用していると、出血が止まりにくくなります。
- 血液の病気:白血病や血小板減少症などの血液の病気も、鼻血の原因となることがあります。
- 肝臓の病気:肝臓の病気があると、血液凝固に関わる物質が十分に作られず、出血しやすくなることがあります。
- 妊娠:妊娠中はホルモンバランスの変化により、鼻の粘膜が充血しやすくなり、鼻血が出やすくなることがあります。
3.原因不明の鼻出血
- 特に原因がはっきりしない鼻血も多く、鼻の粘膜の血管がもろかったり、体質的な要因が関与していると考えられています。
鼻血が出やすい時間帯や状況
鼻血は、以下のような時間帯や状況で出やすい傾向があります。
- 朝起きたとき: 就寝中に鼻の粘膜が乾燥しやすいため、朝起きたときに鼻血が出やすいことがあります。
- 入浴後: 入浴で体が温まり、血圧が上昇すると、鼻血が出やすくなることがあります。
- 運動後: 運動で血圧が上昇すると、鼻血が出やすくなることがあります。
- 乾燥した環境: 冬場など、空気が乾燥している環境では、鼻の粘膜が乾燥しやすく、鼻血が出やすくなります。
鼻血の検査と診断
鼻血が頻繁に出たり、なかなか止まらない場合は、耳鼻咽喉科を受診し、原因を特定する必要があります。検査は、以下のようなものが行われます。
- 問診:いつから鼻血が出始めたか、頻度、出血量、他に症状はないか、持病や服用中の薬はあるかなどを詳しくお聞きします。
- 鼻鏡検査:鼻の穴の中を観察し、出血部位や粘膜の状態、腫瘍の有無などを確認します。
- 血液検査:必要に応じて、血液の病気の有無や、血液凝固機能などを調べます。
- レントゲン検査・CT検査:鼻の骨や副鼻腔の状態を調べるために、レントゲン検査やCT検査を行うことがあります。
鼻血の対処法
鼻血が出たときの基本的な対処法は以下の通りです。
- 落ち着いて座る: 興奮すると血圧が上がり、出血が止まりにくくなるため、落ち着いて座りましょう。
- 鼻をつまむ: 親指と人差し指で鼻の柔らかい部分を、小鼻を挟むようにして、5分から10分程度強くつまんで圧迫します。
- 補足: 強くつまむことが重要です。鼻の骨の部分をつまんでも止血効果はありません。
- 顔を少し下に向ける: 鼻血が喉に流れ込むのを防ぐため、少し顔を下に向けてください。上を向くと血液を飲み込んでしまい、気持ち悪くなることがあります。
- 冷やす: 鼻の付け根を冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、血管が収縮し、止血を助けることがあります。
- 止血を確認: 5分から10分経っても出血が止まらない場合は、再度鼻をつまんで圧迫してください。それでも止まらない場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻血の治療法
鼻血の治療は、原因によって異なります。
- 鼻の粘膜の傷の場合:止血処置(圧迫止血や止血剤の使用)、鼻腔粘膜焼灼術、軟膏塗布などで治療します。
- 高血圧の場合:血圧を下げる薬を服用したり、生活習慣を改善することで、高血圧をコントロールします。
- 血液をサラサラにする薬を服用している場合:医師と相談し、薬の調整や服用の中止を検討します。
- 血液の病気の場合:血液内科で専門的な治療を行います。
- 鼻の腫瘍の場合:手術や放射線治療などが必要となる場合があります。
- 血管腫の場合:経過観察やレーザー治療、手術などを行います。
予防策
- 鼻を触りすぎない: 鼻をほじったり、触りすぎたりしないように注意しましょう。
- 鼻を優しくかむ: 鼻をかむときは、強くかみすぎないようにしましょう。
- 加湿をする: 部屋の湿度を適切に保ち、鼻の粘膜が乾燥するのを防ぎましょう。
まとめ
鼻血は、多くの方が経験する症状ですが、頻繁に出たり、止まりにくい場合は、放置せずに耳鼻咽喉科を受診し、原因を特定し、適切な治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)