のどに違和感がある
「のどに何かが引っかかっている感じがする」「のどが詰まったような感じがする」「いつも痰が絡まっている感じがする」など、のどの違和感は、多くの方が経験する不快な症状です。のどは、呼吸や食事をする上で重要な器官であり、違和感が続くと日常生活に支障をきたすこともあります。
のどに違和感を感じる原因
のどの違和感の原因は様々で、特定が難しい場合もあります。主な原因として、以下のものが挙げられます。
1.咽喉頭(いんこうとう)の病気
- 咽頭炎・喉頭炎:ウイルスや細菌感染によって、のどの粘膜や声帯がある喉頭が炎症を起こすと、のどの痛み、違和感、咳、声のかすれなどの症状が現れます。
- 咽頭がん・喉頭がん:咽頭や喉頭にできる悪性腫瘍。初期にはのどの違和感、声のかすれ、ものが飲み込みにくいなどの症状が現れることがあります。
- 補足:がんは早期発見、早期治療が大切です。
- 声帯ポリープ・声帯結節:声の出しすぎや、慢性的な炎症により、声帯にポリープや結節ができると、声のかすれや、のどの違和感が生じることがあります。
- 急性喉頭蓋炎:喉頭の入口にある喉頭蓋が細菌感染などで急激に腫れ上がる病気。のどの違和感、痛み、呼吸困難、声のかすれなどの症状が現れます。
2鼻副鼻腔の病気
- アレルギー性鼻炎:花粉やハウスダストなどのアレルギー物質によって、鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水がのどに流れ込む(後鼻漏)ことで、のどの違和感を生じることがあります。
- 副鼻腔炎(蓄膿症):副鼻腔に炎症が起こると、膿のような鼻水がのどに流れ込み、のどの違和感、咳、痰の原因になることがあります。
3.食道の病気
- 逆流性食道炎:胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激して炎症を起こす病気。胸焼け、胸の痛み、のどの違和感などの症状が現れます。
- 食道がん:食道にできる悪性腫瘍。初期にはのどの違和感や、ものが飲み込みにくいなどの症状が現れることがあります。
4.甲状腺の病気
- 甲状腺腫瘍:甲状腺に腫瘍ができると、のどに圧迫感や違和感を感じることがあります。
- 甲状腺炎:甲状腺が炎症を起こすと、のどの違和感や痛みを感じることがあります。
5.頸部の病気
- 頸部のリンパ節の腫れ:風邪や感染症、その他炎症によって、首のリンパ節が腫れると、のどの違和感を感じることがあります。
- 頸部の腫瘍:頸部に腫瘍ができると、のどに圧迫感や違和感を感じることがあります。
6.全身の病気
- 貧血:貧血になると、のどの粘膜が乾燥しやすくなり、違和感を感じることがあります。
- 自律神経失調症:自律神経のバランスが乱れると、のどに違和感を感じることがあります。
- 更年期障害:更年期障害の症状の一つとして、のどの違和感を感じることがあります。
- 糖尿病:糖尿病の合併症の一つとして、のどの粘膜が乾燥しやすくなり、違和感を感じることがあります。
- 精神疾患:不安やストレスなどの精神的な要因によって、のどの違和感を感じることがあります。
7.その他
- 乾燥:空気が乾燥していると、のどの粘膜が乾燥しやすくなり、違和感を感じることがあります。
- 刺激物:タバコの煙やアルコール、香辛料などの刺激物がのどの粘膜を刺激し、違和感を感じることがあります。
- ストレス:ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、のどに違和感を感じることがあります。
- 薬の副作用:一部の薬の副作用として、のどの違和感を感じることがあります。
- 異物:魚の骨などがのどに引っかかると、違和感を感じることがあります。
咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)
検査をしても、のどの違和感の原因となる病気が見つからない場合もあります。このような場合、「咽喉頭異常感症」と診断されることがあります。これは、のどに何らかの異常を感じるものの、原因となる明確な病気がない状態を指します。精神的なストレスや自律神経の乱れが関与していると考えられています。
のどの違和感の症状
のどの違和感は、人によって感じ方が異なります。
- 異物感:のどに何か物が引っかかっているような感じ。
- 圧迫感:のどが締め付けられるような感じ、圧迫されているような感じ。
- 乾燥感:のどが乾燥してカサカサする感じ。
- 詰まった感じ:のどが詰まっているような感じ。
- ヒリヒリする感じ:のどがヒリヒリと痛む感じ。
- 痰が絡む感じ:常に痰が絡んでいるような感じ。
- 声のかすれ:声がかすれたり、出しにくい感じ。
- 咳:咳が頻繁に出る。
のどの違和感の検査と診断
のどの違和感の原因を特定するために、耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います。
- 問診:いつから症状が出始めたか、どのような違和感を感じるか、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 視診:のどを直接観察し、炎症の有無や状態を確認します。
- 内視鏡検査:鼻やのどを内視鏡で観察し、詳しく調べます。
- 画像検査:必要に応じて、レントゲン検査やCT検査を行い、異常がないかを確認します。
- 血液検査:必要に応じて、血液検査を行い、炎症の程度や甲状腺の機能を調べます。
- アレルギー検査:アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、アレルギー検査を行います。
- 胃カメラ検査:必要に応じて、食道や胃の状態を調べるために胃カメラ検査を行います。
のどの違和感の治療法
のどの違和感の治療法は、原因によって異なります。
1.咽喉頭の病気が原因の場合
- 咽頭炎・喉頭炎:炎症を抑える薬を使用します。
- 咽頭がん・喉頭がん:手術、放射線治療、化学療法などを行います。
- 声帯ポリープ・声帯結節:声を安静にしたり、手術で切除することもあります。
- 急性喉頭蓋炎:重症の場合は、入院して点滴治療や呼吸管理を行います。
2.鼻副鼻腔の病気が原因の場合
- アレルギー性鼻炎:抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使用します。
- 副鼻腔炎:抗菌薬や炎症を抑える薬を使用します。必要に応じて手術を行うこともあります。
3.食道の病気が原因の場合
- 逆流性食道炎:胃酸の分泌を抑える薬を使用します。
- 食道がん:手術、放射線治療、化学療法などを行います。
4.甲状腺の病気が原因の場合
- 甲状腺腫瘍:手術が必要になることがあります。
- 甲状腺炎:炎症を抑える薬を使用します。
5.その他
- 生活習慣の改善:ストレスを溜めない、十分な睡眠をとる、バランスの良い食事を心がけるなど、生活習慣を改善します。
- 刺激物を避ける:タバコの煙やアルコールなどの刺激物を避けるようにしましょう。
- 保湿:加湿器などを利用して、部屋の湿度を適切に保ちましょう。
- 薬の調整:薬の副作用が疑われる場合は、医師に相談しましょう。
6.咽喉頭異常感症の場合
- ストレスや不安を取り除くカウンセリングなどを行います。
- 必要に応じて、漢方薬などの薬物療法を行います。
まとめ
のどの違和感は、放置すると症状が悪化したり、日常生活に支障をきたす可能性があります。のどの違和感が続く場合は、自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)