急性喉頭蓋炎
1.概要
急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)とは、のどの入り口にある喉頭蓋(こうとうがい)が急に腫れて炎症を起こし、呼吸を妨げる危険性のある病気です。適切な治療が遅れると気道が塞がれ、命にかかわる可能性があります。
2.症状
- 呼吸困難:喉頭蓋の腫れが気道を狭くし、息がしづらくなる
- のどの痛み・発熱:強い痛みとともに熱が出ることが多い
- 飲み込みづらさ:腫れの影響で、つばや食べ物を飲み込みにくい
- 声の異常:声が出しづらくなったり、しわがれたりする場合もある
3.原因
- 細菌感染:細菌(例:インフルエンザ菌など)が喉頭蓋に感染して炎症を起こす
- ウイルス感染:まれにウイルス感染でも生じることがある
- その他:外傷ややけどなどによる炎症で喉頭蓋が腫れる場合も
4.診断
- 問診・視診:発熱、のどの痛み、呼吸困難などの症状を確認
- 内視鏡検査:鼻や口からファイバースコープを挿入し、喉頭蓋の腫れ具合を直接観察
- 画像検査(X線など):喉頭蓋の大きさや気道の閉塞状態を評価するために行う場合がある
5.治療
- 気道確保:重度の腫れで呼吸が極端に困難な場合は、首から気管に穴をあける(気管切開)などの処置で呼吸を確保
- 薬物療法:抗菌薬(抗生物質)やステロイドを投与して腫れと感染を抑える
- 安静・入院管理:症状が重い場合や呼吸状態が不安定な場合は、入院して酸素投与や点滴などを行い、経過観察を行う
- 経過:順調に回復すれば1~2週間ほどで炎症は改善し、開けた穴(気管切開)も自然に塞がる
急性喉頭蓋炎は迅速かつ適切な治療が重要です。発熱やのどの痛みに加えて呼吸がしづらい、飲み込みにくいといった症状がある場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診し、専門的な診察を受けるようにしてください。