顔が痛い
「頬や目の奥がズキズキ痛む」「おでこが重く痛い」「顔の一部がピリピリ痛む」など、顔の痛みは、日常生活に支障をきたすだけでなく、原因によっては重篤な病気が隠れている可能性もあります。このページでは、顔の痛みの原因や対処法について詳しく解説します。
顔の痛みの種類と特徴
顔の痛みといっても、その感じ方や痛む場所は様々です。痛みの種類と特徴を把握することで、原因を特定する手がかりになります。
- ズキズキする痛み:脈を打つように痛む場合、炎症や血管性の頭痛が考えられます。
- 締め付けられるような痛み:頭を締め付けられるように痛む場合は、緊張性頭痛やストレスが考えられます。
- ピリピリ、チクチクする痛み:神経痛のような痛みは、三叉神経痛や帯状疱疹の可能性があります。
- 顔全体が痛む:風邪や副鼻腔炎、インフルエンザなどが考えられます。
- 顔の一部が痛む:特定の神経や筋肉の炎症、腫瘍などが考えられます。
顔の痛みの主な原因
顔の痛みの原因は様々ですが、主な原因として以下のものが挙げられます。
1.副鼻腔炎(ふくびくうえん)
特徴:鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が起こる病気。
- 症状:頬や目の奥、おでこなどに痛みを感じることがあります。粘り気のある鼻水が出たり、鼻づまり、頭痛を伴うこともあります。
- 補足:副鼻腔炎は、風邪やアレルギー性鼻炎などが原因で起こることがあります。
2.耳下腺炎(じかせんえん)
特徴:耳の前にある耳下腺が炎症を起こす病気。
- 症状:頬の外側(耳の前から頬にかけて)が腫れて痛みます。発熱や倦怠感を伴うこともあります。
- 補足:おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が代表的な病気です。
3.三叉神経痛(さんさしんけいつう)
特徴:顔の感覚を司る三叉神経が刺激され、激しい痛みが起こる病気。
- 症状:顔の片側に、電気が走るような、あるいは刺すような激しい痛みが、数秒から数分間続くことがあります。
- 補足:痛みが起こる場所は、人によって異なります。
4.帯状疱疹(たいじょうほうしん)
特徴:水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こる病気。
- 症状:顔の一部に、水疱を伴う赤い発疹が現れ、ピリピリとした神経痛のような痛みを感じます。
- 補足:免疫力が低下した時に発症しやすいです。
5.その他の神経痛
- 後頭神経痛: 後頭部の神経が刺激されて、後頭部から頭頂部にかけて痛みが起こる病気。
- 舌咽神経痛: 舌の奥やのどの奥に痛みが起こる病気。
6.筋肉や関節の痛み
- 顎関節症: 顎関節やその周辺の筋肉に痛みや機能障害が起こる病気。顎の痛みや、口を開けづらい、顎の音がするなどの症状が現れます。
- 咀嚼筋痛: 頬や顎の筋肉が緊張して痛む状態。
7.血管性の頭痛
- 片頭痛:ズキズキとした拍動性の痛みが特徴の頭痛。吐き気や光過敏を伴うこともあります。
- 群発頭痛:目の奥の激しい痛みや、目の充血、鼻水、鼻づまりなどの症状を伴う頭痛。
8.歯や歯茎の病気
- 虫歯や歯周病: 虫歯や歯周病が原因で、歯や歯茎の痛みだけでなく、顔の痛みとして感じることもあります。
- 歯髄炎: 歯の神経が炎症を起こし、激しい痛みを伴うことがあります。
9.その他の病気
- 三叉神経痛以外の神経障害: 三叉神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで、顔の痛みを引き起こすことがあります。
- 腫瘍: 顔面やその周辺にできた腫瘍が、神経を圧迫したり炎症を起こしたりすることで、顔の痛みを引き起こすことがあります。
- 血管の病気: 動脈瘤や血管炎などが原因で、顔の痛みが生じることがあります。
- 心因性の痛み:ストレスや不安などの精神的な要因が、顔の痛みを引き起こすことがあります。
顔の痛みの検査と診断
顔の痛みの原因を特定するために、耳鼻咽喉科、歯科、神経内科、皮膚科などで以下のような検査を行います。
- 問診: いつから症状が出始めたか、どのような痛みか、どこが痛むか、他の症状を伴うかなどを詳しくお聞きします。
- 触診: 痛む場所を触診し、腫れや圧痛の有無を確認します。
- 鼻腔内視鏡検査: 鼻の奥を内視鏡で観察し、副鼻腔の状態を確認します。
- 口腔内検査: 口の中の状態(歯や歯茎の状態、炎症の有無など)を観察します。
- 神経学的検査: 神経の反射や感覚、運動機能などを調べます。
- 画像検査: 必要に応じて、顔のレントゲン検査、CT検査、MRI検査を行い、腫瘍や骨の異常がないかを確認します。
- 血液検査: 炎症の程度などを調べます。
- 皮膚検査: 水疱のある部分を検査し、帯状疱疹の原因ウイルスを特定します。
- 歯科検査: 歯や歯茎の状態を詳しく検査します。
顔の痛みの治療法
顔の痛みの治療法は、原因によって異なります。
1.副鼻腔炎の場合
- 抗菌薬: 細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を使用します。
- ステロイド薬: 炎症を抑えるために、ステロイド薬を使用することがあります。
- 粘液溶解薬: 鼻水や痰を排出しやすくする薬を使用します。
- 鼻洗浄: 生理食塩水などで鼻を洗浄し、鼻の中を清潔に保ちます。
- 手術: 薬物療法で改善しない場合は、手術で炎症を起こしている副鼻腔をきれいにします。
2.耳下腺炎の場合
- 安静: 十分な休息をとり、症状が治まるのを待ちます。
- 解熱鎮痛剤: 必要に応じて、痛みや熱を抑える薬を使用します。
- 補足:流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の場合は、特効薬はありません。
3.三叉神経痛の場合
- 薬物療法: 抗てんかん薬や鎮痛薬を使用して、痛みを抑えます。
- 神経ブロック療法: 神経に麻酔薬を注射し、痛みを和らげます。
- 手術: 薬物療法で改善しない場合は、手術を行うことがあります。
4.帯状疱疹の場合
- 抗ウイルス薬: ウイルスの増殖を抑える薬を使用します。
- 鎮痛剤: 痛みを和らげる薬を使用します。
- 神経ブロック療法: 神経に麻酔薬を注射し、痛みを和らげます。
5.その他の神経痛の場合
- 薬物療法: 抗うつ薬、抗けいれん薬などを使用します。
- 神経ブロック療法: 神経に麻酔薬を注射し、痛みを和らげます。
6.筋肉や関節の痛みの場合
- 薬物療法: 鎮痛薬や筋弛緩薬を使用します。
- リハビリテーション: 筋肉のストレッチやマッサージなどを行います。
- マウスピース:顎関節症の場合、就寝時にマウスピースを使用します。
7.血管性の頭痛の場合
- 片頭痛:痛みを和らげる薬や、予防薬を使用します。
- 群発頭痛:酸素吸入や、トリプタン製剤などを使用します。
8.歯や歯茎の病気の場合
- 歯科治療: 虫歯や歯周病の治療を行います。
9.その他
- 腫瘍:手術や放射線治療などを行います。
- 心因性の痛み: カウンセリングや薬物療法を行います。
まとめ
顔の痛みは、放置すると日常生活に支障をきたすだけでなく、重篤な病気が隠れている可能性もあります。片側の痛み、鼻症状を伴う場合は耳鼻咽喉科を受診してください。痛みが続くときにはがんのこともありますから、そのようなときには自己判断せずに早めに耳鼻咽喉科を受診し、原因を調べて治療しましょう。
(お困りの際は、当院までご相談ください。適切な対応をさせていただきます。)