魚骨異物
魚骨異物とは
魚骨異物とは、魚の骨が口腔、咽頭、喉頭などの上気道に刺入または嵌入した状態を指します。特に咽頭(のど)に刺さることが多く、魚を食べる際に誤って飲み込んでしまうことで発生します。
主な症状
- 咽頭痛: 異物が刺さった部位に疼痛が生じます。刺すような痛み、チクチクする痛み、鈍痛など、痛みの性質は様々です。
- 嚥下時痛: 唾液や食物を飲み込む際に痛みが強くなることがあります。
- 異物感: のどに何かが引っかかっているような違和感や異物感を自覚します。
- 咳: 異物による刺激で、咳反射が起こることがあります。
- 嘔気・嘔吐: 異物感や疼痛により、吐き気や嘔吐を催すことがあります。
- 嗄声(させい): 喉頭付近に異物が刺入した場合、声のかすれが生じることがあります(まれ)。
放置のリスク
魚骨異物を放置すると、以下のリスクが考えられます。
- 炎症の遷延・悪化: 異物周囲の粘膜に炎症が持続し、疼痛が増強する可能性があります。
- 感染症: 異物刺入部位から細菌感染を引き起こす可能性があります。
- 膿瘍形成: 炎症が重篤化すると、膿が貯留する膿瘍を形成するリスクがあります。
- まれな合併症: 極めてまれですが、食道穿孔や血管損傷などの重篤な合併症を引き起こす可能性も否定できません。
対処法
魚骨が刺さったと感じた場合は、自己判断での除去は避け、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
- 自己処置の危険性: 無理に指やピンセットなどで摘出を試みると、異物を奥へ押し込んでしまったり、粘膜を傷つけるリスクがあります。また、自己判断で咳をしたり、ご飯を丸呑みするなどの行為も状態を悪化させる可能性があります。
- 耳鼻咽喉科での処置: 耳鼻咽喉科では、専門的な器具(直線または柔軟な喉頭鏡、異物鉗子など)を用いて、安全かつ確実に異物を摘出します。
受診のご案内
魚骨異物が疑われる症状がある場合は、迷わず耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と処置を受けてください。