1.概要
鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)とは、鼻の左右を隔てている「鼻中隔(びちゅうかく)」が何らかの理由で左右いずれかに曲がったりずれたりしている状態を指します。鼻中隔が大きく彎曲すると、鼻腔内の通り道に偏りが生じ、鼻づまりなどの症状が起こりやすくなります。
2.症状
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鼻づまり:一方の鼻腔が常に詰まりやすく、呼吸がしづらい
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頭痛や頭重感:十分な鼻呼吸ができないことで酸素不足を感じる場合がある
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口呼吸の増加:慢性的な鼻づまりにより、無意識に口呼吸になりやすい
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いびきや睡眠障害:就寝時も鼻づまりが続くと、いびきや睡眠の質の低下につながる場合がある
3.原因
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先天的要因:鼻中隔が生まれつき曲がっている
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外傷:転倒やスポーツなどで鼻を強打し、骨や軟骨が変形する
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成長過程でのゆがみ:成長期に鼻骨や軟骨が不均衡に発達して彎曲が生じる
必ずしも強い外傷がなくても、成長や加齢に伴い徐々に彎曲が進む場合があります。
4.診断
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問診・視診:鼻づまりの程度、呼吸やいびきなど生活上の支障を確認します。
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鼻鏡・内視鏡検査:鼻腔内を直接観察し、鼻中隔の曲がり具合や粘膜の状態を確認します。
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画像検査(CTなど):必要に応じて鼻中隔や副鼻腔の詳細な状態を評価し、他の疾患との鑑別を行います。
5.治療
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保存的療法:症状が軽度の場合、点鼻薬やネブライザーで鼻粘膜の炎症を緩和させ、鼻づまりを軽減します。
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手術療法(鼻中隔矯正術):症状が強く日常生活に支障がある場合、曲がった鼻中隔の骨・軟骨を切除または矯正して改善を図ります。手術は鼻腔内から行うことが多く、外から傷跡は目立ちません。
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術後管理:手術後も一定期間は鼻腔内のケア(洗浄や点鼻)を行い、感染予防や出血管理を徹底します。
鼻中隔彎曲症は、放置すると慢性的な鼻づまりや睡眠障害、口呼吸によるのどの乾燥などが続く可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査と治療方針を相談しましょう。